あの頃からあなただけが好きでした
「どうしてここに居るの?」
あのアフロデリアの夜は、昨夜の事なのに。
翌日の夕方に彼は私の前に現れた。
私の言った意味がわかっていないのか、どうしてまた顔を出す気になれるのか。
それも、私が暮らすアパートメントの前で立っているなんて。
「ちゃんと謝りたかったし、それに伝えたいこともあるし」
「……謝罪は昨夜したでしょう?
そもそも、どうしてここがわかったの?」
「4日前、6年ぶりに会った夜。
君の後をつけた」
「……クレアが一緒に居たでしょう?」
「馬車を頼んでいたから、それに乗せてバルモア家に帰らせた」
「……」
「君は酔ってフラフラしてたし、ちゃんと帰られるのか不安だった」
自分の行いが正当なものであるかのように話されても……
語るカーティスの口調も、昔に戻っているかのようで。
それだけで許しそうになる自分がつくづく情けない。
だけど、絶対に部屋には上げたりしない。
「それで? 伝えたい事って何?」
「マリオン……」
出来るだけ心が揺れているのを悟られたくなくて冷たく言ったのに、彼が私の名前を呼ぶから。
6年ぶりに優しく私の名前を呼ぶから。
「ジュリアさんに伝えるかどうかは、君に任せる。
キーナンが見つかったよ」