あの頃からあなただけが好きでした

マリオン18歳②


 私はその日の朝、少々焦っていた。
 始業前に図書室に借りていた本を返却しないと
いけない。
 昼休みに何かあって、行けなかったら大変なので登校して直ぐに図書室に向かっていた。

 返却期日が試験期間中だった本がまだ手元にあった事を、昨夜ベッドに入ってから突然に思い出した。


 明日から冬休み前の最終試験が始まる。
 図書室や校庭は本日の放課後から使用禁止になる。
 その為、今週頭から今日までは、返却のみ始業前に行える事になっていた。


 本当にギリギリでも思い出せて良かった、危なかった。
 この学園では返却期日を守らないと、ペナルティとして1ヶ月の貸し出し禁止になる。

 試験の後には冬休みが控えているので、図書室で本が借りられないのは堪える。
 受験勉強の追い込みをかける頃だけれど、合間に小説や詩集を読むのが、ささやかな息抜きになっていた。



「マリオン・オーブリー!」


 授業が始まる前に、と急ぐ私の背後から呼び掛ける声がした。
 
 振り向くと、本当に久しぶりのカーティスの笑顔が見えた。
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