あの頃からあなただけが好きでした
「朝から本を抱えて、図書室に行くの?」
「カーティス!
ずっと、お休みしてたでしょう?
体調が悪かったの? もう大丈夫なの?
今日から来れたの?」
本当にご無沙汰だったので、何から話せばいいのか、わからず。
矢継ぎ早に質問する私に、彼は若干引いているように見えた。
「体調はいいんだけど、明日からは試験だし。
前日くらいは授業受けないと、と思ってさ」
「の、ノート!私貸せるわ!
試験範囲も……」
引かれているのに、休んでいたカーティスの役に立ちたくて。
背の高い彼にアピールするようにつま先立ちでつい食い気味に話してしまう。
図書室のある別棟に続く廊下は、始業前と言うこともあり、それほどの人通りはないが、それでも私達のやり取りを見ている他の生徒からすると。
この構図は、学園の有名人に気に入られようとしているファン、かも……
その事にやっと気付いて、私は彼から身を離した。
「あ、あのさ、昼休み。
いつものところで会えるかな?」
彼の言葉で、肝心な事を思い出した。