あの頃からあなただけが好きでした
何人もの人が私達の周りに集まってきていて、私にはこの状況が飲み込めないまま。
固く抱き締められていた彼の腕がやがて解かれた。
私の下敷きになっているカーティスの上から慌てて降りた。
「カーティス……大丈夫?」
「マリオン……怪我はないか?」
「私は大丈夫だけど、貴方が……」
「良かった……」
私を安心させるように彼は笑って見せてくれたけれど。
どこか打ってしまったのだろう、直ぐには起き上がれない様子に、心配で涙が出てくる。
それに彼の右手の甲からは、切れたところから血が滲んでいた。
「すみません!すみません!」
1年生らしい男子生徒ふたりが真っ青になって、私達に謝る。
ものすごい勢いで語られた説明によると。
彼等は先生に頼まれて1時間目に使用する地形図が入った木管を資料室から持ち出した。
それを教室までの道すがら、剣に見立てて振り回していたところ、手から木管がすっぽぬけて飛んでしまったらしい。
あっ、と思った瞬間には既に壁に当たって木管は折れて、破片が飛び散り、その場を通りかかった私の方に大きな破片が飛んできたのを、カーティスは庇ってくれたのだ。