あの頃からあなただけが好きでした

 次の日から試験が始まって、冬休みに突入し て。
 休みが明けても、カーティスは学園に戻ってこない。

 3年生は卒業式まで登校日も数少ない。
 ちゃんとふたりで話せたのは、思い返せばこの時が最後だった。


 無事に大学に合格したこと。
 奨学金審査に受かったこと。
 王都で住む場所が決まったこと。
 彼に聞いて欲しい事はたくさんあった。



 春の終わりの卒業式。
 私は新しいリボンを結んで、何ヵ月も顔を見ていない彼に会えるのを楽しみにしていた。

 卒業式前日の昨日、信じられないことに私の留守中に彼が来た。
 その時にカーティスがジュリアに預けた封筒に入っていた蒼いリボンだ。


 カーティスからの封筒には、手紙のつもりなのか、私の好きな詩人の『アフロデリア』が綴られた便箋が1枚と綺麗なリボンが入っていた。
 

 このリボン素敵だね、どこで買ったの?
 あの詩集、貴方も読んだの?
 彼に会ったら、どっちから先に話そうか。
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