あの頃からあなただけが好きでした
スコットという男は見かけが抜群に良くて、頭も良いし、裕福な伯爵家を継ぐ男だと噂になっていたので。
入学早々の新入生懇親会で隣をキープしたのになんだかんだとはぐらかされて逃げられた。
それからは徹底的に避けられて、最悪なことにマリオンなんかと仲良くなりやがった腹の立つ男だ。
それでも、ルームメイトなんだから。
私とも打ち解けると思ったのに。
もう3年も経つのに、スコットもマリオンも私を食事の席に招かない。
その日も多分またふたりだけで行くんだろ、と思っていたのに。
迎えに来たのはスコットと見慣れないカッコいい男だった。
スコットとはタイプの違う素敵さで、少し見とれてしまった。
慌てて自己紹介をする。
「私はスコットの高等部の友達というか……
先輩になりますね。
ブレナー・モートンと申します」
大人っぽい物腰と落ち着いたトーン。
鍛えられた身体に、出来る男の雰囲気がまとわりついていた。
スコットの高校時代の先輩、なら。
ブレナーも貴族の生まれだ。
彼と見比べると華奢なスコットなんて、と思った。