あの頃からあなただけが好きでした
「スコット・ダウンヴィル伯爵令息です。
入学してからずっと、マリオンと仲良しなんです」
「……仲良しですか」
「皆は、ただの友人ではないだろう、と思ってますけど」
「……」
「ダウンヴィル様が招待された夜会にもマリオンはパートナーとして出席していますから。
ふたりが婚約するのも時間の問題かも、って噂です」
「……マリオンは何て?」
「マリオンって、慎重でしょ?
婚約が決まったら教えてくれる、と思いますけど」
私は嘘はついていない。
そんな噂があるのは本当だもの。
「マリオンに声かけないと」
そう言った私の腕を、カーティスが掴んだ。
「今日は……もういいです。
彼女も忙しいようですし」
「でも……お会いにならないの?」
「またの機会でいいので……
私が来た事も伝えないでくれますか?」
それについては、私には異論はない。
伝えなくて良いなら、伝えたりしない。
カーティスが方向転換して歩き始めたので、私も慌てて後を追った。
なんか、良い感じになりそうな気がする。
あぁ、本当に。
絶対にこの男を手に入れたい。