あの頃からあなただけが好きでした
そして現在。
私はガーランド市役所の衛生局で働いている。
私の実家は古くから王都で、薬局を数店舗営んでいた。
それで、私は薬学部に通っていたのだけど。
まだ合格困難な薬剤師免許は取っていなかった。
私の上には兄が2人居て、どちらも出来る方だから、父から見ても私では力不足だとわかっていたようだ。
薬剤師免許も取れず、店の経営を任せられる力量の無い私に、無駄な期待などしていない父は。
私が王都から離れてガーランドで就職したい、と言ったら、伝手を使ってくれた。
地方都市のガーランドは、港がある事から物流と人流の入出が盛んで、衛生局は常に人手が足りないようで、大学の薬学部を卒業した私はコネだけど大歓迎された。
忙しい部署だったけれど、時間通りに退勤出来て、暦通りに休日があり、その上規定の有給も消化するように言われるのが嬉しい。
平日の夜も週末も、飲食店を経営するカーティスとは会えないけれど、お店に行けば顔を見ることが出来た。
その時間が確実に取れるのが嬉しかった。
レストランの定休日には、彼を誘った。
最初は前日に食事に行って、今思い付いたみたいに誘った。