あの頃からあなただけが好きでした
キーナンさんの話をした後、3年前に来てくれたことを、カーティスは話し出した。
「3年前、君に会いに来たことがある」
「3年前、って? まだ大学に居た頃?」
「みっともない話だけど、諦めきれなくて。
君のコーカスの友人から住所を聞いて、部屋を訪ねたんだ。
その時にクレアと知り合った」
カーティスは私の数少ないコーカスの友人の名前を挙げた。
「大学の構内で見かけた君は忙しくしてて、楽しそうで幸せそうで。
もう俺の出る幕はないな、と思って」
クレアに案内してもらった大学で、私とスコットの姿を見たのだ、とカーティスは言った。
スコットが貴族階級の人間で、もう婚約もほぼ決まっている、と噂がある事も聞いたらしい。
「スコットからは恋人のブレナーのことを打ち明けられていたから。
貴族の義務として出席しなくてはいけないところに女性を同伴する時は、パートナーを頼まれていたの」
「そうか……」
スコットの事は誰にも言えなくて、彼との仲を聞かれても『友達だから』で、通していた。
噂があることも知っていたけれど、ふたりで否定しても消えなかった。
でもまさか、それがクレアから。
カーティスの耳に入るなんて想像もしていなかった。