あの頃からあなただけが好きでした
「彼は地元から大学まで、私に会いに来てくれたんだけど。
私は案内したクレアからは聞いていなかったの。
来ていたことも知らなくて会えなくて、ね」
「それ……」
「彼には私に来たことは伝えた、と言ったみたい。
私が会いたくない、と言った、と伝えたの。
……彼は、私の初恋の相手だったんだけどね。
結婚式ではブライズメイドを頼まれたから」
『コレダケハ、イッテヤル』
誰かじゃない、私が言ってるんだ。
私の話を聞いて、トリシアが何とも言えない表情をした。
トリシアは軽々しい話はしない。
それは皆知っている。
だから、彼女の言う事は皆信じる。
他人の事に口出ししない彼女だから、この事を
あちこちで言う事はないし、胸に止めているだけかも知れない。
だからこそ、私はトリシアに話したのだ。
彼女が口にすると。
それは真実となり、皆は信じるから。