あの頃からあなただけが好きでした

スコット24歳


「と、言うわけでトリシアにしゃべったの」

「……」

「スコットからの軽蔑の眼差しが痛い」



 昼休み、研究所の食堂でマリオンと昼飯を食べる。
 彼女とあの男の店に行った以降の事を説明される。

 有給取って故郷に帰った話とか、姉の元恋人の話とか。
……ついでのように、カーティス・ブルーベルの話も。


 マリオンはおどけて言ってるが、彼女の心が悲鳴をあげているのはわかっていた。
 傷口からどんどん血が流れ出てる感じ。
 トリシアや俺に話した事で、本人が余計に傷ついてる気がする。



「軽蔑なんてしてないけど」

「……良かった、スコットに嫌われるのは避けたかったし」


 マリオンの初恋を盗んだクレアは図々しく、俺にまで婚約披露パーティーの連絡をしてきた。
 会場はあの『アフロデリア』だ。


 泥棒は泥棒らしく、大人しくしてればいいのに。
 大々的に披露する神経は、本当に何て言えばいいんだ。
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