孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
だけど今は、それをうまく言葉にできるほどの余裕はなかった。
いろんな感情が頭を支配して、まざったものがまとめて涙に変わるだけだった。
「……っ、……ぐす」
情けない自分の嗚咽が響いて、ついには濡れたタイルのうえに座り込んでしまう。
雪くんは黙ってわたしの側にかがみこんだ。
いつもだったら当たり前みたいに触れてくる手は、だらりと下がったまま。
「………ごめん」
最後にひどく掠れた声を落として、雪くんは浴室を出ていった。