孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

自分の席に向かおうとしたら、またちょっと足元がふらついた。

今日、体育なくてよかったあ……。



「まりちゃあああん! おはよお〜〜!」


突き抜けるくらい元気な声が後ろから飛んできたかと思えば、ダブルデートをもちかけてきた佐々木くん。

まりやちゃんが犬系って言ってたのがよくわかる。


きらっきらな笑顔で脇目も振らずにまりやちゃんの元へ駆け寄ってくる姿はまさにそう。

あるはずもない尻尾まで見える。


ていうか、たった昨日までまりやサン呼びだったのに……!



「さーくん〜おはようっ」


さーくん!?
まりやちゃんまでいつの間に!

まりやちゃん、すっかりゾッコンみたい。

幸せそうだなあ……。

すぐ近くにいるふたりのこと、なんか別世界の住人に思えてきた。



「そうだ、まりちゃん。オレすげえいいカフェ知ってるんだけど放課後は混むから、今日の午後から授業抜けて一緒にいかない?」

「えっ、さーくん見た目によらず不良だ〜。でも楽しそう、いいよ!」
< 114 / 313 >

この作品をシェア

pagetop