孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
薄笑い。
よく似合う……悪い顔。
もしかしてわたし、また……選択肢まちがった?
「天沢は不在。ターゲットは熱で弱って抵抗する力もない。ね、絶好の機会だってわかるでしょ?」
間違ってたとしても、本領の言うとおり体は動かない。
中城くんの言葉を思い出す。
本領くんがわたしに近づくのは、雪くんを陥れるために利用しようとしてるから。
優しくしてくれてたのは、油断させるため?
それ以外に理由なんてあるわけない。
本人も言ってたじゃん。
わたしのことが憎い……って。
ほんとに馬鹿なのかも。
頭のどこかではちゃんとわかってた。
本領くんは敵だから気を許したらだめだって。
でも、わかってても嬉しかったんだ。
助けてくれたとき、心臓がぎゅ…っとなって
泣きそうになるくらい、嬉しかったんだもん……。
「天沢のとこに帰れなくしてあげる」
するっと外したそれを
わたしに見せつけた彼が不敵に笑う。
「このネクタイ、何に使うか知りたい?」