孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
.





「どうだ、うまくいったのか」


寝顔を見つめながら、どれくらいの時間が経っただろう。

保健室の裏口から、敷島(しきしま)が静かに中へ入ってきた。

──Lunaの最高幹部メンバー。
生徒から見れば、副総長の座にあたる男。



「見てわかんない? なあんにもうまくいってないよ。傷一つ、付けらんなかった」

「意外な結果だな。絆されたのか?」

「んーん。俺が勝手に自滅しただけ」



これでもかってくらい傷付けて世界で一番嫌われれば、潔く諦めもつくと思ったのにな……。

誤算が重なりすぎた。



「ねえ、4年も付き合ってて手を出されてないって、どういうことだと思う?」

「手を出されてないって……加藤杏実が?」


「うん。たぶんね。あの反応はそう」

「バカ、嘘ついてんだよそいつ。自分を守るために嘘ついたに決まってる」

「そう……かのかな」
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