孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
中城真尋くん。
天沢グループお抱えのエリート執事だったかSPだったか……の、息子。
雪くんの側近、且つ、わたしの“監視役”でもある。
「えっと……えっと見間違いだと思う〜、わたし普通に徒歩で裏門から入ってきた!」
「いいえ」
たった一言の返事にも負けてしまう。
能面・中城くんの目は欺けないと、嫌ってくらい知ってるから。
この人はすごい。
何がすごいかって、雪くんの言うことしか聞かないところ。
とにかく無口で自分の任務に必要のないことは一切喋らないし、雪くん以外の誰かと会話してるのを見たことがない。
例外としてわたしがいるわけだけど、わたしと話すのは雪くんからの伝言を預かっている時か、監視中にどうしても必要な最低限の事務的な受け応えのみ。
こちらから話題を振っても基本的に無言。
相槌もナシ、笑顔もナシ。
あらかじめプログラミングされた機械みたいに、淡々を仕事をこなしてる。