孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
白湯を用意してくれた、みたい。
解熱剤……。
そっか、わたし風邪ひいてて、朝から頭がぐらぐらしてて。
まりやちゃんと佐々木くんがデートに行くまでは耐えられてたんだけど、お昼休みになったら急にぐわーってしんどくなっちゃって……。
5限目、情報室に場所が変更になってて、慌てて向かおうとしたけど、体がいうことをきいてくれなくなって。
ベッドで休みな、と。
本領くんが手を貸してくれたところまでは覚えてる。
その手があったかくて涙がでそうにかったところまでは……覚えてるのに……。
「あの……勘違いだったらごめんね。わたし、保健室に行ったんじゃなかったっけ……?」
本領くんは、ちょっとだけ間を置いて。
「覚えて、ない?」
「う……う、ん」
「なんにも? 俺と一緒にいたときの記憶、一切ない?」
「っ……」
確かめるようにわたしをのぞき込んだ瞳が、ゆら……と揺れた気がした。