孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「今朝ね、あったかいココア飲みたくて自販機に行こうとしたんだけど、お金持ってくるの忘れてたんだ」
「へえ。災難だったね。俺に言えばすぐ買ってきたのに」
「んな……っ。そんなことできないよ!」
「俺が敵側の人間だから?」
ううん、そうじゃなくて。
「相手が雪くんでも同じだよ〜。顎で使うみたいなの、冗談でもできない。怖いから!」
「怖い? 天沢のことも?」
「雪くんも本領くんも怖いよ。ふたりがもってるオーラ? みたいなのが凄まじいんだよね……立場がえらいとかじゃないの。たとえふたりの立場を知らなくても、目の前に立たれたら体が勝手に萎縮しちゃうと思う」
なにがおもしろいのか、本領くんはまたくすっと口角をあげる。
「怖いとか言うわりに、ほんとによく喋るよね、かとーあみちゃんって」
「そ、そうかな……」
これも嫌味……?
恐る恐る様子を伺ってみるけど、不快に思っているわけでもなさそうで。