孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

「今朝ね、あったかいココア飲みたくて自販機に行こうとしたんだけど、お金持ってくるの忘れてたんだ」

「へえ。災難だったね。俺に言えばすぐ買ってきたのに」

「んな……っ。そんなことできないよ!」

「俺が敵側の人間だから?」



ううん、そうじゃなくて。



「相手が雪くんでも同じだよ〜。顎で使うみたいなの、冗談でもできない。怖いから!」

「怖い? 天沢のことも?」

「雪くんも本領くんも怖いよ。ふたりがもってるオーラ? みたいなのが凄まじいんだよね……立場がえらいとかじゃないの。たとえふたりの立場を知らなくても、目の前に立たれたら体が勝手に萎縮しちゃうと思う」


なにがおもしろいのか、本領くんはまたくすっと口角をあげる。



「怖いとか言うわりに、ほんとによく喋るよね、かとーあみちゃんって」

「そ、そうかな……」


これも嫌味……?

恐る恐る様子を伺ってみるけど、不快に思っているわけでもなさそうで。
< 159 / 313 >

この作品をシェア

pagetop