孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「先ほど、男のバイクから降りてこられたように見えました」
「……はい」
「その男は本領墨のように見えました」
「………」
「間違いないということですね。わかりました」
用は済んだというように、そそくさと背を向ける中城くん。
どこまでも機械的で怖くなった。
正直、冷淡な瞳でも向けてくれたほうがまだ安心できる……。
「ねえ、あの……ですね、わたしのこと怒ったりしないの?」
「自分の役目は雪様に報告をすることだけです」
「でも本当は怒ってるよね、」
「いいえ」
それは、わたしに全く興味がないから?
ううん違う。
雪くんに報告して、わたしがどうなろうと知ったことじゃないから、だ。
それとも本当に何の感情も湧かないの?
尋ねても返事がないことはわかりきってるから、黙ってとぼとぼ後をついていく。
雪くんになんて言い訳しよう……って、涙目で考えながら。