孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

「先ほど、男のバイクから降りてこられたように見えました」

「……はい」


「その男は本領墨のように見えました」

「………」


「間違いないということですね。わかりました」



用は済んだというように、そそくさと背を向ける中城くん。

どこまでも機械的で怖くなった。
正直、冷淡な瞳でも向けてくれたほうがまだ安心できる……。



「ねえ、あの……ですね、わたしのこと怒ったりしないの?」

「自分の役目は雪様に報告をすることだけです」

「でも本当は怒ってるよね、」

「いいえ」



それは、わたしに全く興味がないから?
ううん違う。
雪くんに報告して、わたしがどうなろうと知ったことじゃないから、だ。

それとも本当に何の感情も湧かないの?



尋ねても返事がないことはわかりきってるから、黙ってとぼとぼ後をついていく。

雪くんになんて言い訳しよう……って、涙目で考えながら。
< 16 / 313 >

この作品をシェア

pagetop