孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「雪くんおかえりなさい……っ」
笑顔で迎えてくれた杏実を見たら、我慢できずに玄関先で抱きついた。
「う……ぐっ……くるじい……」
そう言われて力を少しだけ緩めた。
杏実といると加減がわからなくなる。
「こんな遅くまで、ホテルでなにがあってたの?」
「べつに。お前には関係ない」
「そっ、か……」
そう。杏実には関係ない。
おれがどれだけ女と会ったところで、どうせぜんぶ破談になる。
「それより今日もひとりか?」
「うん。今度お母さんたちが帰ってくるのはお盆なんだって」
相変わらずの放任だな……。
毎回自分の家との違いに驚く。
杏実の父親が仕事で海外に行ってて、母親はそれについていってるらしい。
なんで一緒に行かなかったのと聞けば、「英語ができないから」とヘラっと笑っていた。