孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
お気楽なとこもまじで可愛い……。
杏実が家に残る選択をしてくれて本当によかった。
でもどこにいようと関係ない。
杏実が海外にどうしても行くと言うなら、おれも絶対についていく。
「あのね、お風呂ちょうど溜まったんだ! 入ってきていいよ!」
「ん、ありがと。お前は入んねーの?」
「うん。お先にいいよ! ちょっと部屋片付けたいからさ、……えへへ」
そんなのいちいち気にするところも好きだ。
大好き……。
「あ、あとね、今日11時から映画があるんだけど地上波初なんだって。一緒に見てくれる? 夜ふかししちゃうけど……!」
「ああ、いいよ」
お前とならなんだっていい。
隣にいるだけで幸せだから。
よくできすぎているくらい幸せなひとときも、これがおれたちの普通だと安心しきっていた。
杏実が楽しそうに笑っていることがうれしい。
本気でそう思っていた。
──────無理して笑ってたことにも、気づかずに。