孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「あと、ごめんね。さっきの電話では知らないふりしてたんだけど、雪くんにいっぱいお見合いの話がきてるって知ってたんだ。今日もその関係で学校を休んでるのも知ってた」
「……中城から聞いたのか」
「中城くんは悪くないよ! わたしが無理やり食い下がって聞き出したの! そこだけはわかって、お願い……」
杏実に知られていた。
他の女と縁談話が持ち上がっていること……。
知ってたくせに、なんでそんなに平気な顔でいられるんだよ。
「ずっと考えてたんだ。雪くんの家にとって、どんな相手と結婚するかってすごく大事なことでしょ。間違っても庶民のわたしなんかが隣にいちゃいけないし」
「っ、そんなことあるわけ……!」
「ううん、だめだよ。友達でいられるのがギリギリだもん。これは雪くんじゃなくてわたしの気持ち。ずっと仲良くしてほしいけど、雪くんの婚約者さんとかを差し置いて一緒にいるまでの覚悟はないもん」