孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

どんどん、どんどん……目の前が暗くなっていく。


おれと一緒にいる覚悟がない？

婚約者なんかどうでもいい。
杏実しかいらない。

杏実にとってのおれは、覚悟がないからって簡単に捨てられるほどの存在だった……？



「あと、雪くんの好きな人と結ばれる可能性も邪魔したくない。出会いはお見合いでも、もしかしたら運命の相手かもしれないのに……。雪くんはわたしがいるから、他は要らないって、深く知る前に断ち切っちゃうでしょ？」



そんなの当たり前だ。

杏実がいるから他はいらない。

杏実だってわかってるくせに、どうしてそんなことを言うんだよ……。



「雪くんには本当に好きな人と結ばれてほしい。わたしみたいな偽物の彼女なんかじゃなくて……」

「っ、おれが本当に好きなのはずっと、」

「それでねっ、なんで急にこんなこと言うのかって言ったらね、わたしもできたかもしれないの……好きな人……」

「……──」


………は？

ひどいめまいがした。

座っていても崩れ落ちそうだった。