孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
毎朝、わたしの家まで車で迎えに来るようになった。
車に入ったら、雪くんと同じ匂いの香水を何度も振りかけられる。
異常なのは、車の中での会話が一切ないこと。
ううん。車の中だけじゃない。
学校にいるときもなにも話さない。
ただ隣にいるだけ。
そしてもう一つ。
まりやちゃんと話すことを禁止された。
スマホから、雪くん以外の連絡先はぜんぶ削除されたせいでメッセージを送ることもできない。
「杏実おはよ……!」
声をかけられても無視しなくちゃいけなかった。
一度でも返事をすれば、雪くんが雇った男の子たちに、まりやちゃんを襲わせると言われたから。
悲しそうな顔で去っていくまりやちゃんを何度も横目に見た。
それでも、雪くんからそう約束を取り付けられてい2週間くらいたった今でも、まりやちゃんは毎日あいさつをしに来てくれている。
わたしは隠れて泣くしかなかった。