孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
早く立ち上がらないと……
こんなとこで座り込んで泣いてたらびっくりさせちゃう。
頭ではそう思いながらも、体はなかなか動いてくれないし涙も止まってくれない。
足音が近づいてくる。
涙で白く滲む視界の中、わたしに黒い影がかかったのがわかった。
もう、いいや……どう思われても。
すべてを諦めた、矢先のこと。
「かとーあみちゃん、久しぶり」
知っている響きに
──────ドクリ。
心臓が静かに跳ねる。
ゆっくりと、そばにかがみこむ気配……。
彼はわたしの髪を、するりと一度だけ弄んで、
囁いた。
「助けてあげる。おいで」