孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
えっ! そんないきなり、ふたりきりなんて……!
動揺するわたしをよそに、本領くんは涼しい顔。
「だってさ。もう行こーか」
「あ、う、うん」
いや普通に考えて、もう帰るってことだよね。わたしが。
ひとりで慌ててバカみたい。
カフェみたいなキッチンを出て、左に曲がる。それからディスコルームもどきの部屋を経由して、右……。
本領くんについて歩きながら、はたと記憶をたどる。
この部屋、この通路……入ってきたときに通ってない。
えっと、出口は別にあるってこと?
いやでも前にお邪魔したときも出入り口は一緒だったはず!
て、ことは──まだ帰らないってこと?
「かとーあみちゃん。ちょっとそこのソファ座って」
「へ!」
本領くんの視線の先には黒い高級ソファ。
座って何するんだろう!
本領くんといると息が苦しくて困るし、心臓も早いままで困るし、とにかくぜんぶ困るのに……。