孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

「早く座って」

「で、も」

「いーから座れ」

「はい……」


体が勝手に動く。
どきどきする。

やっぱり王様だなあって思う瞬間。
もちろんいい意味で。


わたしが座ったあとに、本領くんも隣に座った。



「かとーあみちゃん手首見せて」

「手首?」

「ちょっと腫れてたでしょ。へーき?」

「あ……」



そうだ、雪くんに突き飛ばされたとき、手がぐきってなって……。



「大丈夫だよ。ちょっとひねっちゃったんだけど、全然使える! ケーキも普通に食べられたもん」

「ひねったときって、あとから腫れも痛み増してくるんだよ。湿布持ってくるから冷やしときな」

部屋を出ていって、2分ほどで戻ってきた本領くん。



「ん」と、わたしに手を差し出させて、ぴたっと貼ってくれた。



「ありがとう」

「かとーあみちゃんってよく怪我するの?」


お礼をかき消すようにして尋ねられた。


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