孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「そういうわけじゃない、よ? あ、この手首はたまたまで……」
「前にかとーあみちゃんが道路で転んでた日、手首にアザあるの見えてさ。登校時にはなかったのに、いつ、どうやって付いたのかなってずっと気になってた」
「っ──、」
あれはたしか、わたしが連絡をすぐに返せなかったから雪くんの機嫌が悪くて。
空き教室に連れて行かれる際に、ぎりっと強く握られたから……。
「……言いたくない?」
「う、ううん……アザとかあったかな? って、思って……。自分じゃ気づかなかったから、」
「──そっか。そーだね、俺の見間違いだったかも」
嘘は付きたくないし、雪くんを悪者にもしたくない。
どう返すのが正解かわからない……。
「本領くん優しいよね。わたしのこと嫌いなのに、小さいことにも気づいてくれる……」
「……ああ、なんか、ね。スパイじみた癖が抜けなくてさ。敵が近くにいると無意識に目で追っちゃうんだよね。かとーちゃん見ててもいいことないし、治したいんだけど」