孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

中城の言うことが本当だとしたら、一つ言えるのは「安心」したからだと思う。

とうに失ったと思っていた“友達”の中城真尋が、今はたしかに隣にいるから。



「まあ、俺が加藤様に抱いていた想いは、憧れに近いものもあったと思います」

「憧れ?」


「あの方は、雪様を“天沢家の長男”としては一切見ていないようでしたので」

「そー……か?」


「雪様が一番よくわかっていらっしゃったでしょう。加藤様は、雪様に対していい意味で遠慮がありませんからね。初めの頃は多少無礼にも感じるほどでした」



中城は懐かしそうに笑ってみせた。



「おふたりが並んで話しているとき、間に何の隔たりも見えないのです。周りの方もそう思われているでしょう。加藤様は本当にすごい方だと思います」



隔たりがない……か。
本当にそう見えてたなら、嬉しいけど。

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