孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
わたし・加藤 杏実は、1ヶ月以上もの間、風邪を拗らせて、喉をやられ、まともに声が出ない状態になっていた……らしい。
声がうまく出せない不安から精神的にも不安定になり、塞ぎ込んで、周りから距離を置いてしまうようになって。
話しかけられても笑顔も返せないほどひどい状態だったんだとか……。
「周りに心配をかけたくないからって黙ってたって聞いたよ……。加藤さん健気すぎでしょ……」
「まりや優しいから心配するもんね……。でも親友なら頼っていいと思うよ!」
「てか、加藤さんの意志を尊重して、黙ってずっとそばにいてくれた雪くんかっこいいわ……」
つまりは、こういうこと。
雪くんの言いつけで雪くん以外の人との関わりを絶っていたわたし。
当然、周りからは性格の悪い女として見られる。
──────そこに“特別な事情”がない限りは。