孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
直後。
「杏実〜〜〜っ!!」
カンカンカンカン! 慌ただしい音を立てながらまりやちゃんが階段を降りてきた。
その後ろから、ゆっくり雪くんが姿を現す。
えっと、あれ、これはどういう組み合わせ……。
「久しぶり! あのね、雪くんから全部聞いたよ」
「んえ……ぜんぶって」
「本当は付き合ってなかったことも、この前から、杏実が全然喋ってくれなくなった本当の理由も」
付き合ってなかったことも?
雪くんそこまで言うなんて……。
「ちなみに、わたし風邪ひいてのどが腫れに腫れまくってたわけじゃないよ?」
「あははっ、うん、それも聞いたよ。雪くん、私だけには本当のことを言っときたかったんだって。これでもかってくらい謝られちゃった」
わたしが見上げると、雪くんは罰が悪そうに目をそらした。
「言いたいことはいっぱるあるけど、杏実は雪くんに会いに来たんでしょ? 今はふたりでちゃんと話しなよ。私は教室で待ってるからさ」