孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
じゃあね、と手を振ってまりやちゃんは去っていこうとする。
「神原さん、聞いてくれてありがとう。……ごめんね。杏実のこと、これからもよろしくね」
「いえいえ。雪くんも本当のこと教えてくれてありがとう。ちなみに今のところ私はゆきあみ推しだから! 頑張って欲しいな〜」
「あははっ、僕の話聞いたあとにそれは笑うって。ありがとう〜」
爽やかに手を振り返すのは、みんなの前の太陽みたいな雪くん。
まりやちゃんの姿が見えなくなった瞬間、
「……はあ」と、
なんとも気だるげなため息が隣で聞こえた。
「つーかお前、なんで来るわけ」
どかっとそのまま階段に腰をおろす。
あ……いつもと変わらない、雪くん、だ。
安心する。
ヘンに心配する必要はなかったのかな……。
「朝、教室で待ってても来なかったから、雪くんのこと探してて」
「教えたの中城だろ」
「う……ち、違うけど」
「あいつ、誰かさんと同じでおれの言うこと全っ然聞かねえんだよな」