孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「お前……ほんとに最低……」
流れ込んできた声はどっちでもなかった。
ただ切なく響いて消えていくだけ。
「おれの気持ちには応えられない。しかもよりにもよって本領が好き。それなのに友達に戻りたいとか自分勝手にもほどがあるだろ」
「っ、……」
「けどいーよ、わかったよ」
おもむろに伸びてきた手が、わたしの頭を雑に撫でる。
「好きな女を泣かせるほうが最低だからな」
──今まで聞いた雪くんの声の中で、1番優しい響きだった。