孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている


「杏実ちゃんどうしたの、大丈夫?」


何人かの女の子たちが周りに集まってきてくれて、慌てて笑顔を返した。



「大丈夫、なんでもない! ごめんね……っ」

「いやでも泣いてるじゃん!」


「ちょ、ちょっと寝不足で目が……!」

「無理しないでいいんだよ〜〜。 雪くんのこと辛いよね……忘れられないなら無理に忘れなくていいと思う」



うう、違うけど……。

ここで全力で否定するのもおかしい。


だって、みんなの中でわたしと雪くんは元恋人同士なんだもん。

みんなの中でのわたしは、雪くんの家庭の事情で別れなきゃいけなくなった可哀想な彼女だから……。



もうどうしたって叶わない気がしてくる。


天沢派と本領派。そんな区切りいらないのに。

誰にも言えない。


本領くんを好きなだけなのに、いけないことだと責められそうで。

好きなことが罪みたいに扱われる……。
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