孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「ごめんまりやちゃん。ちょっと水道で顔洗ってくる……!」
みんなの視線から逃れるようにして教室を出た。
だけど、
「──わっ!? ごめんなさい、」
こんなときに限って廊下で人とぶつかるし。
そんなときに限って
「──あれ。かとーあみちゃんじゃん」
相手が、本領 墨くんだったりする。
バクン! と盛大に鳴り響いた心臓。
「……泣いてる? どうしたの、」
「………」
あ、……あ………どうしよう。
泣き止むために教室を出てきたのに、本人が目の前に現れて、もう……
ばかみたいに、ぼろぼろと涙が出てきた……──────。