孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

本領くんの表情を見る余裕もなくダッシュする。

涙のあとが風にあたってひりひり痛くて、もっと涙が出た。


非常階段に駆け込んでうずくまる。



ぐす、ぐす……小1時間泣き続けた。

5限目が始まるチャイムも終わるチャイムもそこで聞いた。


さすがに泣き疲れて涙を乾いてきた頃。

ギイ……と誰かが階段の扉を開ける音がして、びくっとする。



どうしよ、隠れなきゃ……。

とは思っても、がらんとした階段じゃ隠れる場所なんてあるわけもなく……。



「あれ、先客……。ていうかあんた……」


入ってきた人物と目が合う。

知ってる人でびっくりした。



「っあ、えと……先日はどうも」


上ずった声が出る。

敷島くんだ。

Lunaの最高幹部メンバーで、副総長の、お菓子づくりがとっても上手な敷島 遥人くん……。

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