孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
午後の授業はさぼった。
敷島がケーキを焼くというから、一緒に幹部室に逃げた。
「加藤杏実、いっぱい食うから倍ぐらい焼かないとな」
「いーよ。今日あの子来ないから」
「は?」
「これから先も食べに来てくれることはないよ。残念だけど」
せっかく焼いてくれたケーキは、世界で1番美味しいはずなのに
今日だけはなんの味もしなかった。
焼かなくていいって自分で言ったくせに
もしかしたら……気がかわって、あの子が来るかもしれない……。
そう思って、他の幹部用に分けられたものを1つとって、冷蔵庫の隅にこっそり隠した。