孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

わたしを見おろす彼は、この街で大悪党として知られている有名人。

その名も──本領 墨くん。17歳。


街一帯を裏で仕切る本領グループの次男なんだとか。

普通に学校生活を送っていても本領くんの話はよく耳にするせいで、誕生日まで知ってる。
4月2日。



今日は高校2年生の新学期──。

5日前まで16歳だったとは到底思えない。


整いすぎた容姿のせいだけじゃない。余裕たっぷりなのに一切の隙もなくて。

シワ1つない制服にぴかぴかの革靴、耳元で揺れるピアスは綺麗な彼をさらに優美に仕立て上げている。


うう、完成されすぎてる……。

高貴なオーラに圧されて息が詰まりそう。



「すみませんでした……ひとりで立てます、」


一度は取った手を、恐る恐る離そうとした。


彼の噂なんて、口にするだけでもおぞましいものばかり。

……関わらないのが“吉”だと判断して。
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