孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている


「雪さんと“一緒に”?」


そんなわけ……と再び場が騒然となる。


「汚ぇ本領の人間と雪さんが……とか、どうかしてる」



ため息とともに聞こえた声に、わたしの中のなにかが切れた。



「汚いとか、なにそれ。よく知りもしないのに噂を鵜呑みにして好き勝手言うなんて最低! 本領くんは誰よりも優しいよ! 訂正して……っ」



ぱし、と手を掴まれる。

本領くんだった。



「いいよあみちゃん、ありがとう。俺の家が汚いことやってるのは本当だから」

「でも!」



わたしが声をあげた直後、後ろからやってきた白いワゴン車が、わたしたちのそばで停車した。



窓が黒塗りのソレに、ひやりとしたのはわたしだけじゃないはず。


怖い大人の人たちが降りてきて注意されるのかと身構えた……けれど、やがて助手席から降りてきたのはよく知った顔だった。



「え、中城さん?」


Solメンバーのひとりが驚いた声を出す。


そう、雪くんの側近、能面の中城真尋くんだ。

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