孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
「加藤様。お怪我はありませんか?」
「あ、うん、おかげさまで」
ぽかんとしていると、中城くんは今度はSolのメンバーに向き直った。
「Solの皆様へ、雪様より伝言を頼まれております。“今後はLunaと仲良くやるように”と」
しばらくシン……となったのち、波のようにどよめきが広がった。
「そんなこと雪さんが言うわけない……!」
「それはつまり、俺が嘘をつくような軽薄な人間だと?」
「っつ……」
それから、再びくるりとわたしたちの方を向く。
「雪様に、おふたりを車で学校まで送り届けるよう言いつかっております。どうぞお乗りくださいませ。本領様のバイクは後ろに積み込みますので」
雪くん……気遣ってくれたんだ。
「それから本領様。“近々、SolとLunaで合同の集会を行いたい”と雪様が申しておりまして。どうか前向きにご検討いただけますと幸いです」
深いお辞儀に見送られながら、わたしたちは車に乗り込んだ。