孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

「今頃みんな始業式だね、かとーあみちゃん」


脱脂綿にちょんちょん、と液をつけながら話しかけてくる本領くんに、ぎこちなくうなずく。


やっぱりこのシチュエーション普通じゃない。
異常だ!

始業式をさぼってること以前に、雪くんの敵と一緒にいることが。


そして、なにより。

相手から見れば、わたしは敵の彼女(だと思われてる)なわけだから……つまり敵!

敵に親切にされるって状況! 絶対にヘン!



「傷口触るよ、いい?」

「っ、うん」



こんな……優しい手つきで、丁寧に手当してくれるの、絶対にヘンなのに……。


消毒液に濡れた脱脂綿が、ゆっくり、傷口に近づくのを目で追っていたら
また、心臓の音が早くなってきた。


「っひ……、ぅ」


アルコールが染みて、思わず膝を浮かせて逃げそうになる。


「痛い?」

「う…ん、っ、いたい、」

「もうちょっと我慢」

「……うう、はい」

「そう、いい子」
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