孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
巷で有名、大悪党・本領グループの次男。
極悪人、不良、ごろつき、マフィア、お尋ね者……。
今まで聞いたことのある噂をずらっと並べてみても、目の前の光景と結びつかなくて非常に困る。
ついには自分の目を疑って、改めて本領 墨くんを凝視してしまった。
──黒い髪、黒い瞳に、びっくりするくらい白い肌。
もはや絵画。
目、鼻、口、どこを切り取っても美しくて無駄な線がなんにもない。
高貴だなって思う。
神様がめちゃくちゃ気合い入れて繊細につくりあげた代物みたい。
雪くんだって引けをとらない美しさをもってる。
見た目の好みは各々あれど、どっちが美しいかなんて一生悩んでも決めきれない。
決めきれないし、雪くんのそばにいるおかげでわたしの目は美しさにとっくに慣れているはずなのに……。
長い睫毛が影を落とした瞬間に、ドク、ドク……って。
胸の底から蠢く気配がする。
「はい終わり」
ガーゼを医療用のテープでぴたっと留めてくれた本領くんが顔をあげると、耳元でピアスがゆらゆら揺れる。
シャツは第二ボタンまで開いてるけど、内側から覗くハイネックが喉元をきれいに隠してた。
「ありがとう、」
「いいえ、どういたしまして」
にこっと笑って、ベッドの上……
わたしの隣に、すとんと腰をおろした。