孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

落ち着かないから、早く立ち上がって今からでも始業式に向かいたい。

でも本領くんが隣にいる限り無理。


行くなと言われたわけでもないのに、さっきの呪いがまだ効いてて、許可がないと動けない体になってしまった。


かと言って、このままふたりきりで座ってるのは気まずいもので……。



「あっ。そういえばさっきの保健室の先生、すごい賑やかな人だったね」


さりげなく話題を振ってみる。



「賑やか? 騒がしいの間違いでしょ」

「仲よさげだったじゃん。本領くんはよく保健室来るんだ?」


「あの人誰にでもああだよ。べつに入り浸ってるわけじゃないし、眠くなったら来る程度」

「そう、なんだ……」


質問すれば返してくれるけど、ただそれだけ。

早く「もう行こっか」って言ってほしいのに本領くんは動かない。



「あ、そうだ。さっき言ってたの……片想いしてるって、ほんと?」

「本当だよ。叶わないのも本当、俺たちの世界ではよくある……立場の違いとかいうやつ」
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