孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
──今度こそ世界の終末だと思った。
かとーあみちゃん。
加藤 杏実。
残酷なことに、間違いなくわたしの名前だ。
敵対派閥。
天沢 雪の彼女。
ずっと前から目付けてたよ。
文字にしてみたら特になんてことないセリフ。いや、ちょっとは怖いかもだけど。
“本領 墨”が口にするだけで、こうも震撼させられるものなのか……。
「うお、あぶな」
目眩がして倒れたかけたのを、本領くんが抱き留めてくれた。
だめだ、また心臓が暴れて……。
「倒れるのが趣味なの? それとも貧血?」
前者なわけはないし、後者も的外れだよ。
だけど本人様に向かって『あなたが怖いからです!』とは言えないよさすがに。
そして、言わなきゃいけないことも、この人の前では喉に張り付いたみたいに出てこない。