孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
ふと瞼が伏せられて、きれいな横顔に、長い睫毛が再び影を落とした。
瞬き一つでも絵になるこの人が、片想い……。
先生同様 “いや叶うわけあるよ" と言ってしまいそうになる。
だって誰がどう見ても、本領 墨くんは片想い“される側”なんだもん。
片思いって言葉が似合わなさすぎる。
それよりびっくりなのは、まだ高校生なのにそんなシガラミに縛られて生きなくちゃいけないってこと。
「立場の違いとか……、なんか、大人みたいなこと考えるのってまだ先でもよくない? かなあ」
相手がちらっとわたしを見たのがわかった。
「ほら、なんかね、推しは推せるときに推せってって言うでしょ。好きな人もそうじゃない? 今、好きなんだから、大事なのは今、じゃない? 行動すればなんか変わるかもだし」
「今……」
「うん。まだ未成年なんだから難しいこと考えなくていいと思うんだよね」