孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
また、心臓が狂ったみたいに……。
「や、困る……っ」
顔をそらしながら、相手の手を掴んだ。
だってこういう経験ないんだもん!
知ったかぶりしてもバレたら恥ずかしいし……!
なにより、想い合ってない人とこういうことするのはやっぱり違うと思うし。
ていうか、あと、これ以上近くに来られたら心臓の音が聞こえちゃいそうで……。
緊張と戸惑いと焦りで、言葉になりきれない気持ちがじわりと熱をもって、涙に変わった。
「ほんりょー、くん、近すぎる……本当にもうだめです、これ以上は」
心臓が。
「へえ。でもそーいう顔、逆に男を煽るんだよね」
「?……じゃあ……どーいう顔したらいいの……?」
本領くんが一瞬ぴたりと動きを止める。
「……ほんと可愛いね、気抜いたら襲いそう」
「へ?…… と、とにかく、わた、わたしはだめなの……! 他を当たって、お願い……!」