孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
──“わたし本当は、天沢 雪くんの彼女ではありません。”
……言えないのは、相手が本領くんだからってだけじゃない。
“天沢 雪くん”に、そうするよう“躾け”られているから。
「そ……うです、さいきん貧血気味でふらふらしちゃって、あっ、だからさっき転んだのもそのせいで」
ごめなさい嘘です。
貧血なんて生まれてこのかた、なったことないです。
転んだのは遅刻しそうで注意力散漫になってて。
前しか見ないまま加速しようとしたら勢い余って足がもつれて……。
「わっ、そうだ! わたし遅刻しそうだったんだ……!」
とっさにスマホで時間を確認する。
ホームルームまであと10分弱しかない……。