孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
……まさか、道路で派手に転んでるのが、あの子だとは思わないじゃん。
声掛けたの、間違いだったな。
──『立場の違いとか……、なんか、大人みたいなこと考えるのってまだ先でもよくない? かなあ』
天沢の1番近くにいるくせに、こっちの世界のこと、なんにもわかってない。能天気な女。
本当に最悪だ。
自分には関係ないことだと思いこんでるし、無責任な発言するし。
あと、
──『ほんりょー、くん、近すぎる……本当にもうだめです、これ以上は』
……気がおかしくなりそうなくらい可愛い……し。
俺を拘束した手を解くのは簡単なのに。
持ってる精一杯の力で触れてくれるのは、これが最後かもしれない……とか、ね。
余計なこと考えたせいで、とんだ茶番になった。