孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている
俺に流されなかったのは正解。
これはお互いの立場、から見た結果。
俺個人から見れば間違い。
あの程度で俺になびくようなら、“やっぱ大した女じゃなかったな”って……思えたかもしれないのにさ。
「……バカな女」
関わるべきじゃないのに、関わったばかりに、新しく気になることができてしまった。
──『ていうかさ、かとーあみちゃん』
──『っ、なに?』
あのとき、俺が言うべきじゃないと判断して、飲み込んだ言葉がある。
── “ 手首のアザ、どうしたの? ”
今朝の登校時には気づかなかった……が、たしかにくっきりと痕がついていた。
天沢という彼氏がいながら、一体誰にやられたんだ……?