孤高の極悪総長さまは、彼女を愛しすぎている

「貧血で急ぐの危ないね、乗ってもいいよ」

「え、」


いいんですか?と、思わず続けそうになった。
だけど踏みとどまる。


相手は本領 墨くん。
極悪人の血が流れてるって噂……。

噂を鵜呑みになんてもちろんしないけど、本当だった場合を仮定して。


そんな人が親切なことするわけない。

ましてや、わたしを敵の彼女だと思ってるなら、尚更ありえない。


何か裏があるのかもしれない。
今はなくても、あとから恩を着せて、都合のいいように支配されたりとか……。



「返事おそい。乗れ」

「ひゃ……」


強引に引っ張られる。

それこそまた転んじゃいそうな勢いでバイクの側まで連れていかれた。



「天沢のには乗り慣れてるでしょ、勝手はわかるね」

「は……い」


これは嘘じゃない。

雪くんのバイクの後ろに乗せてもらったことが何度かある。
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